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飛べないあの子
第6章 番外編Ⅰ
「もうすぐ着くよ」
受験シーズンが終わり、ようやく寒さが和らいできた三月のある日、二人は慧の車で温泉旅館に向かっていた。
森林に囲まれた道を抜けると、豪華な数寄屋造りの旅館が見えてきた。
「西辻くん、運転ありがとう。疲れてない?」
「全然」
慧は車を止めて、自分と凛の荷物を持ち運ぼうとした。
凛が自分のバッグを慧から取り上げる。
「持つよ」
「いい。自分で持ちたいの」
世話になったり甘えたりするのが嫌いなようで、こういう細かいところでも凛の頑固さが発揮される。
慧は苦笑して、代わりに凛の手を取って歩き出した。
和服姿の従業員に出迎えられ、予約した凛がチェックインを済ませる。
古き良き日本の趣ある装い、古風な窓ガラスの向こうに広がる緑と青空・・・・・。
日常とかけ離れた景色が心に落ち着きをもたらす。
「素敵なところだね」
仲居に部屋まで案内してもらう。歩きながら慧は言った。
「ね。予約取れて良かった。お部屋も楽しみだな。地酒も!」
目を輝かせて言う凛が愛おしく、慧は凛に近寄って腰に手をあてて囁いた。
「露天風呂は?」
「・・・・・・も、楽しみです・・・・・・・」
恥ずかしそうな気まずそうな様子で凛が小さな声で言う。
慧はクス、と笑って腰を抱こうとしたが仲居を気にした凛がさっと身をかわした。
部屋に案内され、一通りの宿の説明をすると仲居は恭しく出ていった。
窓を開けて二人並んで外を眺める。
日が傾きかけているが、まだまだ明るい。木々の間から日が差し込み、緑があざやかで眩しかった。草木が生い茂っている隙間から川が流れている様子が見える。
慧は凛の腰に手をまわして屈むと、そっとキスした。
凛は緊張した様子で身体を硬くしている。
舌を差し入れると、凛も舌を差し出してきた。
川のせせらぎが聞こえるだけの、静かな世界でゆっくりとキスをする。
慧は凛の着ていたワンピースのファスナーをおろした。
「・・・・・・さっそく入ろうか」
「えっ・・・・・・」
凛が驚いたように身体を引いた。
「いや?」
「・・・・・・こんなに明るいのに?」
「うん」
「・・・・・・・・・」
凛が一瞬嫌そうな顔をしたのを見逃さなかった。
受験シーズンが終わり、ようやく寒さが和らいできた三月のある日、二人は慧の車で温泉旅館に向かっていた。
森林に囲まれた道を抜けると、豪華な数寄屋造りの旅館が見えてきた。
「西辻くん、運転ありがとう。疲れてない?」
「全然」
慧は車を止めて、自分と凛の荷物を持ち運ぼうとした。
凛が自分のバッグを慧から取り上げる。
「持つよ」
「いい。自分で持ちたいの」
世話になったり甘えたりするのが嫌いなようで、こういう細かいところでも凛の頑固さが発揮される。
慧は苦笑して、代わりに凛の手を取って歩き出した。
和服姿の従業員に出迎えられ、予約した凛がチェックインを済ませる。
古き良き日本の趣ある装い、古風な窓ガラスの向こうに広がる緑と青空・・・・・。
日常とかけ離れた景色が心に落ち着きをもたらす。
「素敵なところだね」
仲居に部屋まで案内してもらう。歩きながら慧は言った。
「ね。予約取れて良かった。お部屋も楽しみだな。地酒も!」
目を輝かせて言う凛が愛おしく、慧は凛に近寄って腰に手をあてて囁いた。
「露天風呂は?」
「・・・・・・も、楽しみです・・・・・・・」
恥ずかしそうな気まずそうな様子で凛が小さな声で言う。
慧はクス、と笑って腰を抱こうとしたが仲居を気にした凛がさっと身をかわした。
部屋に案内され、一通りの宿の説明をすると仲居は恭しく出ていった。
窓を開けて二人並んで外を眺める。
日が傾きかけているが、まだまだ明るい。木々の間から日が差し込み、緑があざやかで眩しかった。草木が生い茂っている隙間から川が流れている様子が見える。
慧は凛の腰に手をまわして屈むと、そっとキスした。
凛は緊張した様子で身体を硬くしている。
舌を差し入れると、凛も舌を差し出してきた。
川のせせらぎが聞こえるだけの、静かな世界でゆっくりとキスをする。
慧は凛の着ていたワンピースのファスナーをおろした。
「・・・・・・さっそく入ろうか」
「えっ・・・・・・」
凛が驚いたように身体を引いた。
「いや?」
「・・・・・・こんなに明るいのに?」
「うん」
「・・・・・・・・・」
凛が一瞬嫌そうな顔をしたのを見逃さなかった。

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