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哀色夜伽草紙
第10章 外へ出た籠の鳥

「ここで過ごしてて?ハーブティ淹れといたから」
「うん、有り難う……」
頭をふわりと撫でた羽田くんは花が開くように微笑んだ。
「シャワー浴びてくるね」
答える代わりにコクリと頷く。流れるような動作でバスルームに消えた羽田くん。
それを何となく眺めてからカップを両手で持ち上げてハーブティーを口に含むと、カモミールの薫りが抜けていく。
その香りに急に壱くんを思い出す。
(壱くん…)
壱くんが嫌いだと言ったけれど、落ち着くんだからと横でよく飲んだハーブティーだからだ。
涙が自然に落ちてきた。
たとえ実を結ばない愛でも私は貴方が好きだった。
(傍にいて欲しかった)
誰からも許されなくたって構わないと思っていた。
「傍にいて」
口から思わず言葉が溢れた。寂しくてどうにかなってしまいそうだった。すると
「居るよ、傍にいる」
するりと後ろから手が伸びてきて、ギュッと抱き止められる。
まだ服を着ていない上半身の逞しい筋肉が背中に当たった。
壱くんとは違う少し焼けた素肌、男性的な腕、細長くて器用な指
「泣くななんて言わない。泣けばいいよ、オレの前でだけ泣けよ。愛してる……変わらず昔からずっと愛してるから……琴莉」
抱き止められた手が違うのは分かっている。
「傍にいてくれる?」
「いいよ幾らでも……身代わりにすればいい」
そのまま、私は流された。いいえ流されたのじゃない、選んだのだ。
するりとお腹のあたりから滑り込んできた指が胸の飾りを弾けば、欲望にもっと火をつけていく。
「ん…っ…ダメ…」
「ダメじゃない」
捲し上げたパーカーはソファーに投げられた
「可愛いオレの琴莉……」
(壱くん……)
「うん、有り難う……」
頭をふわりと撫でた羽田くんは花が開くように微笑んだ。
「シャワー浴びてくるね」
答える代わりにコクリと頷く。流れるような動作でバスルームに消えた羽田くん。
それを何となく眺めてからカップを両手で持ち上げてハーブティーを口に含むと、カモミールの薫りが抜けていく。
その香りに急に壱くんを思い出す。
(壱くん…)
壱くんが嫌いだと言ったけれど、落ち着くんだからと横でよく飲んだハーブティーだからだ。
涙が自然に落ちてきた。
たとえ実を結ばない愛でも私は貴方が好きだった。
(傍にいて欲しかった)
誰からも許されなくたって構わないと思っていた。
「傍にいて」
口から思わず言葉が溢れた。寂しくてどうにかなってしまいそうだった。すると
「居るよ、傍にいる」
するりと後ろから手が伸びてきて、ギュッと抱き止められる。
まだ服を着ていない上半身の逞しい筋肉が背中に当たった。
壱くんとは違う少し焼けた素肌、男性的な腕、細長くて器用な指
「泣くななんて言わない。泣けばいいよ、オレの前でだけ泣けよ。愛してる……変わらず昔からずっと愛してるから……琴莉」
抱き止められた手が違うのは分かっている。
「傍にいてくれる?」
「いいよ幾らでも……身代わりにすればいい」
そのまま、私は流された。いいえ流されたのじゃない、選んだのだ。
するりとお腹のあたりから滑り込んできた指が胸の飾りを弾けば、欲望にもっと火をつけていく。
「ん…っ…ダメ…」
「ダメじゃない」
捲し上げたパーカーはソファーに投げられた
「可愛いオレの琴莉……」
(壱くん……)

