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欲望の行末 ~愛しのアンドロイド~
第2章  

「できれば、同席させていただきたいのですが」

「え? どうして?」と直美。

「はい。私は一日でも早く、絢様の全てを知りたいと思っています。それにはご友人と一緒にいらっしゃるところを拝見するのが一番早いと考えました」

「え!? そんなに絢の事が好きなの?」

「はい」

驚いて突っ込んだ直美に、祐二は満面の笑みで肯定する。

「ちょ、ちょっと! なに恥ずかしいこと言ってんのよ!! もういいから出てって!」

絢はそう言うと、祐二を部屋から追い出した。




祐二がどうしても食べてくれと頼むので、食べてあげた夕食後。

気疲れした絢は早々にお風呂に入ると、就寝しようと二階の自室の階段を上っていた。

「もう、お休みですか?」

下から祐二の声が聞こえて振り返った時。

きちんとタオルでふき取っていなかった髪の毛から水滴が落ち、絢はそれに足を滑らせ、階段の中腹から踏み外す。

「………っ!?」

空中をスローモーションの様に落ちていくのが見える。

階段の映像が反転して――、

(やだ! 骨折しちゃう――!?)

絢は恐ろしさと、これから来るであろう痛みに耐えるべく、ぎゅっと瞼を閉じる。

どさ。

ごと。

凄い音がしたが、思ったよりは痛くない。

恐る恐る目を開いてみると、目の前には祐二の胸があった。

(もしかして、庇ってくれた――?)

ばっと身体を起こし祐二の顔を覗き込むと、瞼は閉じられ、長い睫毛はぴくぴくと小刻みに震えていた。

「祐二さん!? 祐二さん、大丈夫っ?」

頬を少し平手で叩いてみるが、瞼がぴくぴくと動くだけで、他の反応は全くない。

「ど、どうしよう。壊れちゃったのかな……あ、そうだ。パパ、パパに聞けばいいんだ!」

絢はそう言うと、携帯電話をポケットから取り出し、父親の携帯電話に掛ける。

三回の呼び出し音の後、父親の能天気な声が聞こえてきた。

『ハロ~、愛しの子猫ちゃん! 元気にしてる?』

「子猫ちゃんじゃない! パパ大変! 祐二さん階段から落ちた私を庇って、意識を失っちゃったの」

『祐二さん? ああ、三号のこと。どんな状態なんだい?』

「瞼が痙攣しているだけで、他は全然反応ない!」

『ふ~ん、瞼開けてみて。どうなってる?』

「ちょっと待って」
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