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欲望の行末 ~愛しのアンドロイド~
第2章  

「え……何で私の名前、知ってるんですか?」

「そうだよ、まだ直美の話はしたことなかったと思うけど?」

絢も不思議になって問いただす。

「絢様の卒業アルバムを拝見いたしまして、過去のクラスメートの方のお名前とお顔はインプットいたしております」

祐二は悪びれずそう言ってのける。

(あの~卒アルって、私の部屋にあるんですけど……)

自分の許しなしに祐二が勝手に卒業アルバムを見たことに、絢はカチンとくる。

「へえ~、さすがですね。私、喉渇いちゃった。ジュースとか頂けますか?」

眉間にぴくぴくと青筋を立てている絢に気づいた直美が、そうフォローに入る。

「失礼いたしました。絢様、お部屋でお飲みになりますか? リビングにお持ちしますか?」

「私の部屋!!」

絢はそうぶっきらぼうに言うと、直美の手を引いて自室へと引っ込んだ。





「あちゃ~。超イケメンだけど、ちょっとめんどくさそうだね」

直美は後ろ手で絢の自室の扉を閉めた途端、そう慰める。

「分かってくれる~? もう、いっつもこんな感じなの」

「でも、しょうがないんじゃない? 基本的な思考構造とかも、絢パパなんでしょ? 娘のものに興味がないわけがないから、どうしても見ちゃうんだって」

「直美ったらどっちの味方? あんた、自分の部屋のものを父親が勝手に見てたらどうする?」

「ぶっ殺す!!」

右手のこぶしを握り締め、直美は呟く。

「でしょ!」

絢がそう口にした時、コンコンとノックされ祐二が入ってきた。

「お待たせいたしました。グレープフルーツジュースで大丈夫でしたか?」

流れる様な所作で絢のお気に入りの猫足のテーブルにコップを置く祐二に、絢はそっぽを向いて口を尖らせる。

「はい。大好きです。ありがとうございます」

先ほどまで絢に同情してくれていた筈の直美の目が、もうハート型になっている。

直美はイケメンに弱いのだ。

(もう、直美ったら――!!)

「ありがと、もういいから出てってくれる?」

ちょっとつっけんどんな感じで言ってしまった絢に、祐二は少し困った表情になる。
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