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第1章 累（かさね）

７

さて、その頃でありました。

義久夫婦は、慶彦が上司の男性のポン引きにだまされてしまったのでムサクイに事業所に電話をしまして、慶彦が４月１日から働くことができるようにお願いをしていました。

勤務場所は西条市か新居浜市で、終身雇用で、お給料は40万円以上で、学歴年齢は不問で、福利厚生が充実していて、仕事に必要な資格は不問で丈夫なからだがあればどんな仕事でもこなせる…を条件にしてムサクイに電話をしていますが、義久夫婦が求めている条件の事業所はひとつもありませんでした。

終身雇用で安定した収入で丈夫なからだがあればどこの事業所でも雇い入れますと先方さんが言うてくださると思っていたけど…

どこの事業所も契約社員しか雇い入れないだなんて、先方さんはチンピラ同然だ…

そのように思っていた義久夫婦はひどくあせっていたので、冷静にものごとを考えることができなくなっていたので、シドロモドロになっていたのでありました。

しげよは、家の電話をつかいまして西条市や新居浜市の事業所へムサクイに電話をかけて慶彦を受け入れてほしいとお願いをしていましたが、断られてしまったので大きくため息をついたあと受話器をおきました。

義久は、大きくため息をついていたしげよにどうしたのかなとたずねました。