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我が運命は君の手にあり
第4章 第四章
ミラーの視線を意識した遼は、中年を過ぎた運転手と北沢の婚約者を重ね見て、奇妙な高揚感に浸っていった。見せつけてやりたかった。女の髪をかき上げ、首筋に舌を這わせた。スカートの裾を捲り、手を忍ばせて撫でると、太腿の途中でストッキングが途切れて柔肌に触れた。彼は思わずその奥をまさぐろうとした。

「お客さん、続きは降りてからにしてくれませんか?」

後部席の有り様に辟易したのか、運転手が呆れ顔でそう言い、タクシーが停車した。

最後の夜に行き着いたのは如何にも場末のホテルで、あの運転手の嫌がらせに違いないと、遼は小さく舌打ちした。埃が転がる狭い廊下を進むと、どこからか女の嬌声がする。泣き叫ぶ女もいるようだ。その生々しさに、北沢の気が変わるのではないかと焦った遼だっが、彼女は動じるでもなく、遼の腕を掴んですり寄ってきた。

部屋番号を確認し、やけに軽いドアを開いた。染みが目立つカーペットの床に、擦り切れたスリッパが置いてある。北沢は臆することなくそれを履き、糸がほつれた安っぽいソファにコートとバッグを置いた。

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