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愛おしいキミに極甘な林檎を
第62章 愛おしいあなたに……



退院してきてからまだそれを食べたことはないけど、どんな味なのか想像がつくのはきっと私も食べたことがあるからなんだと思う。


「私が大切な時にチョコのケーキを……」


「もちろん、洋酒が入ったチョコケーキを風子が食べていたこともあるよ。……酔うほどいっぱい食べていたこともあったな」


酔うほどって、私は一体何をやらかしたんだろう……。


でもソラ先輩が話してくれたことによってその時の自分の気持ちが何となく頭に浮かんだ。



「きっとソラ先輩がいる前で食べるチョコレートケーキは洋酒が入っていても甘かったからいっぱい食べたんですよ。私、甘い方が好きですから」



「そうなると……、あの頃から少しは俺に気があったってこと……?」


どの頃の話なのか分からなくて首を傾げた私はソラ先輩の隣の椅子を引いて座った。


体を向けて目を合わせてもまだ驚いているような表情をしていたから、私はにっこりと笑って頷いてみせる。


記憶を失う前の私もそう答えると思ったから……。


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