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第62章 愛おしいあなたに……

「もう一口くれたら大人しくしてる」


少しドキドキしながらまだ拭っていない部分のチョコを指先につけて背後にいるソラ先輩の口元へ近づける。


すると、そのチョコを上品に舐め取られてエッチをしている時のような気持さが体に走って目を閉じた。



「風子に食べさせてもらうと普通のチョコより美味しいな。……楽しみにしてるね」


「はっ、はい。……んっ」


匂いが部屋に広がり、お菓子を作っていることがバレてしまったけどチョコよりも甘いキスをもらえてこれで良かったと思えた。



作っていたお菓子はガトーショコラ。


レシピ本に載っていたお菓子は今の私でも作れるものばかりだったけど、なぜなのか作りたいと思えたのはこれだった。


しかも、調理をしていて次に何をやればいいのか分かって迷わず作れた。


冷蔵庫で数時間冷やして晩御飯の後にデザートとしてソラ先輩に渡すつもりだ。



どこに何のお店があるのか覚えていなくて、外にも出掛けられないから今の私ができる精一杯のプレゼント。


そして、これと一緒に伝えたい言葉もあった。