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愛おしいキミに極甘な林檎を
第62章 愛おしいあなたに……



きっと、事件が起きる前の私はそうしたかったはず。


だからその願いだけは必ず叶えてみせる……。




結婚式前日。この日は仕事が休みでゆっくりしていることができた。


でもあと数十時間後には式が始まるからなんだか落ち着かない。


そんな時に一冊の本が目に入って、読んでいるうちに自分がしたいことが思い浮かんできた。


ページを捲ると粉がついていて汚れている部分もあるから、恐らく私が何度も作っていたものなんだろう。


冷蔵庫を見ると丁度その材料がある。



大切な日の前に大切な人を喜ばせたくて台所に立ってそれを作った。


「いい匂いがするけどなにか作ってるの?チョコのお菓子?」


「はい。楽しみにしててください」


「記憶をなくす前も風子はよくお菓子作りをしていたんだよ」


「やっぱりそうなんですね。そんな気がしたんです。
あっ、ボールを洗わないと。チョコが勿体ないですね……」


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