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愛おしいキミに極甘な林檎を
第55章 届かぬ愛の裏切り



「今はその方が落ち着きます」


薄暗い中、温めるように冷えた両手を合わせて擦り合わせながら歩く。


息を吐くと白くなり、あまりにも寒いせいなのか課長と思うように話しが進まない。



「今晩も冷えそうだな」


「そうですね……」


どこまで歩いたら、どのタイミングでずっと話したかったことを切り出そう……。



結局、迷っているうちにマンションが見えるところまで来てしまった。



別れる前に話そうと思ってマンションの玄関付近に向かうと、そこには派手な格好をしている若い男女が立っていた。


その男は初めて見るけど、女の方はまだ片手で数えられるくらいしか会っていないけどよく知っている人。


こちらを見てくるから恐らく私を待っていたんだろう。


今度は何の用があってきたのか怖くなって後退りをすると、その若い男女が近づいてくる。



「やっぱりその男と浮気してるじゃん。ヤリマン女」


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