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愛おしいキミに極甘な林檎を
第55章 届かぬ愛の裏切り



長机の向かい側にいる潮崎さんに急に両手を握られて、取ろうとしていた一枚の紙がひらりと床へ落ちる。


握ってきた手は温かいけど、どこか冷たくて、体に熱がじわりと伝わってこない。


ソラ先輩に握られた時とは全然違う感覚だった。



両手を握られながら迫られて驚いていると、コンコンッとドアが叩く音が聞こえた。


音がした方を見てみると、不機嫌そうな顔をして腕を組んでいる課長がいつの間にか立っていて私は口を閉じて素早く瞬きをする。



「二人共、口ではなく手を動かして欲しいんだが」


上司に注意をされて潮崎さんは急いで私の手を放し、丁合する紙を重ね始めた。


「はっ、はい!すみませんでした」


「申し訳ありませんでした、課長!急いで風子と終わらせますので!」



丁合を再開した途中で課長に手招きされていることに気づき、一部作り終えてから潮崎さんを置いて廊下の方へ向かった。


何の用事なのか首を傾げると、課長は内緒話をするような仕草をしてくる。


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