この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
アムネシアは蜜愛に花開く
第3章 Ⅱ 誘惑は根性の先に待ち受ける
 巽が由奈さんを起こそうとするが、由奈さんは甘えるようにして巽にキスをせがむ。巽はそれを躱しながら頭をよしよしと撫でて、由奈さんをその大きな身体ですっぽりと包み込むようにして、抱きしめた。

 絵になるようなその場面に、場はシーンと静まり返り、わたしの視界のその景色は色を失い、音をたてて引き裂かれていく。

 ふたりを見ていたわたしの心が、悲憤とも憤怒とも判別つかないどす黒いものに覆われ始めて、息をするのが苦しくなってたまらない。

 ……わかっている。
 巽は由奈さんを溺愛して、結婚するんだっていうことも。

 だけど――。

「よくやるよなあ、あの専務。あのひとは場違いなんだから、拒めよな」

 怜二さんも呆れているというより、巽を部外者だとした言葉が刺々しかった。

「あの感じなら、子供の方が先にデキてしまったりして」

 じりじり。

 また怜二さんの声が蝉の声に聞こえてくる。

 わたしの胸がきりきりと音をたてた時、後の障子戸が開いて店員さんが正座をしながら告げた。

「飲み放題・食べ放題プランは、あと五分で終了になります」

 だからわたしは、それに乗じて強制終了を宣言する。

「今日の宴はこれにて終了になります。皆さん、支度をして下さい!!」

 にっこり笑ったわたしは、そのまま店員さんと一緒に先に部屋から出て、会計をすませると、どこからか巽がふらふらと現われて、財布を取り出した。

「専務。今日はわたし達が専務をご招待したいんです。もう既にお金は皆から徴収しているので」
「しかし……」

 巽がやけにふらつく。
 わたしは巽を支えながら言った。

「大丈夫ですか?」
「大丈夫です……。ちょっと飲み過ぎてしまったようで……」

 ぐらりと巽の身体が傾いて、彼の熱い唇がわたしの耳に掠める。

 びくっとしながらも、これはただの酔っ払いだと思い、半ば背負うようにすれば皆が部屋から出てきたため、そのまま外に出た。
/207ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ