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アムネシアは蜜愛に花開く
第3章 Ⅱ 誘惑は根性の先に待ち受ける

「乾杯!!」

 全員が持ち上げた、ビールが入った中ジョッキを小気味のいい音をたててかち鳴らすと、宴会の始まりだ。
 恐らく巽は、大学生のノリの延長のような、鍋の具を巡って複数人と箸を突き、焼き鳥を頬張りながらのこうした庶民じみた宴会には慣れていないのだろう。
 早々にアルコールが空となれば、場は陽気な無礼講となり、かなり戸惑う巽の顔が見ていて面白い。

 だがわたしが巽に見て貰いたいのは、そうした仲良しこよしの賑やかさだけではない。
 ルミナスは宴会でも企画会議をするのだ、それも他部課一体になって。

 ルミナスは仕事熱心な社員が揃っていて、企画部ではなくてもこんな面白いものがあると発案や提案をしてきて、皆で考える。妙案となる原石を投じられた企画部……大体は香代子の役目になるが、それを研磨して独自の企画となるようにして提案し、それが通った時はまた皆で宴会をして喜んだりもする。

 仕事場から離れた飲み会だから、各方面から好き勝手に色々な意見が出る。
 ドラッグストア廻りが趣味の社員は、今どんなものが売れ筋で、面白い新製品にどんなものが出ていたか。
 ブランドの化粧品を半額以下で買うのが趣味の社員は、多くのブランド化粧品の比較も出来るし、無料サンプルを貰うのが趣味である社員は、どれが一番よかったかを話し、化粧品に限らずヘアケア製品、美容液にまで話題は多岐に拡がる。

 最初こそ気取って愛想笑いをしていた巽ではあったが、高級志向のアムネシアとは違う、別の多角的な観点に興味を出してきたようで、積極的に質問をしたり、皆と同じく席を変えたりして輪の中に入り始めた。
 わたしは巽を引き込むように場を見ながら、どうにか目的は達成出来たようだとほくそ笑みながら、幹事として空になったジョッキやグラスを入り口に置いたり、注文をして運んだりと大忙しだ。
 まあ、企画力がないわたしの、宴会でのいつもの役目でもあるのだけれど。
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