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蜜会
第3章 溢れる
 トイレ貸してね、と義樹が下着とジーンズだけ履いて部屋を出ていった間に電気をつけ、ウェットティッシュを取り出してお腹をしっかり拭く。

 精液ってどうしても、皮膚の上で乾くと引き攣る感じがする。

 明るいところでティッシュを見ると、なんだか義樹の精液はわりと透明っぽくていわゆる「白濁液」みたいな感じはあまりしなかった。

 年齢とか、個人差なのかな。

 そんなに匂いもしないし。

 といっても時間が経てば匂ってくる液体ではあるはずだから、帰ったらしっかりゴミ箱の始末をしようと決め、ささっと服を着る。

 お互いが放ったものをぬぐい去って、服を着こんだにもかかわらず、まだ体の芯は熱かった。

 いっぱいイったからかな。

 ベッドにまた並んで腰かけて一瞬だけぼんやり体を休めていると、義樹が私の腰を抱いて聞いてきた。


「瑠璃ちゃん。また今度、会ってくれる?」


 彼の首に抱きついて「うん」と返事をし、初めて自分から彼の唇にしっかりとキスした。

 ああ、けっこうこの人のこと好きになっちゃったなぁ。

 奥さんがいる人なんだから、本気になっちゃだめだって自分にブレーキをかけ続けてきたつもりで、全然かかっていなかった。

 むしろ自分で望んでアクセルを踏んだ、と気付く。

 それでも、「彼氏」になったのだし、さてどうしようと考えてみたけど、頻繁に会いたいとは今は思っていない。

 仕事もあるし、頻繁に義樹がこんな遠いところにJRに乗って来ていたら、きっとそのうち彼の周囲の誰かが不審に思うだろうし。
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