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蜜会
第3章 溢れる
 今日はノー残業デーだから早く帰らなきゃなぁと思いながらカタログを見て、スタンプラリーに参加した子供たちに配る景品は何がいいか選んでいると、引き出しの中でLINEのメロディが一瞬ちらっと聞こえた。

 机の下でそっとスマホを触って誰からのメッセージか見てみると安宅さんだった。


『日曜は休めそうだから、家に行っていいかな? 大丈夫なら十一時くらいにアパートに着くよ』


 じゃあ土曜のうちにお風呂とかをぜんぶ掃除してシーツも替えようって思いながら『OK』のスタンプを送ったら、同時に別な人からのメッセージも来た。

 祐一だ。

 それにはすぐ「既読」はつけず、私はカタログをめくる作業に戻った。

 安宅さんとうちでキスをした日の夜、愚痴ってスッキリしたからだろうか。

 祐一に改めて「仕事を今、辞めるつもりはないからもう期待しないで」とLINEで送っていた。

 会って言うなり電話で言うなりするのが礼儀だろうけど、ちょっとこのところ祐一の鈍さに寛容になれずイライラすることが多かったし、どうでもよくなってしまったのでLINEでさくっと済ませることにした。

 紹介してくれた人の手前もあるからどうしようか悩んだけど、鈍感な男にはこういう対応でもいいだろうと半ば投げやりだった。

 そもそも男女の関係にもなっていないのに、祐一は先走り過ぎ。

 そのお別れのLINEを送ってすぐに来ていた返事も実は読んでいなかったし、これで私としては別れたつもりだったから、数日が経ってまだLINEが来るとは思っていなかったんだけど、そう考えるのは自分に都合が良すぎたかもしれない。

 でも私はすでに祐一をそれっきり思い出してもいないほどだったので、仕事に没頭して忘れておりメッセージをやっと開いたのは定時間近の十七時過ぎだった。


『今日、晩ご飯食べながらもう一回話そう。市役所の下で待ってるから』


 既読をつけないで放置していた「別れたくないから考え直してくれ」といったたくさんの長文メッセージもざっと目を通すだけでげっそりしたけど、これを見たとき「えぇ……」と声が出そうになった。

 今日は私もあまり残業をせずに帰る曜日だと祐一は知っている。

 もうそんな気にはなれないけど、他の職員さんたちに見られても困るから『庁舎じゃなくて、裏の郵便局の前にして』とだけ返信した。
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