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蜜会
第2章 湧き出す

私と安宅さんは部屋の真ん中に置いてあるローテーブルの前に並んで座り、コーヒーを飲む。
「安宅さん、名前なんていうの?」
「ヨシキ。義理に樹木で義樹。関係ないけど、弟は雅樹ね」
へぇ、私にも弟がいるけど名前は……と言おうとしたら、カップをローテーブルに置いた安宅さんは私をじっと見た。
「な、何ですか?」
「瑠璃ちゃんは、可愛い」
えっ、って脊髄反射のようにつぶやいて驚いた瞬間に、安宅さんはカップを手放して空いた手で私をぐいっと抱き寄せた。
「あ……安宅さん?」
「昨日まで、稲垣所長にこんな可愛い娘さんがいるなんて思わなかった」
そうして、もう片方の手も背に回して安宅さんは私をしっかり、本当にしっかりと腕の中に収め、抱きしめてしまった。
さっきまで「瑠璃ちゃんのお父さん」とか言ってたのに「稲垣所長」って言い替えた。
そんなくだらないことに気付いたけど、私は付き合ってもいない男の人に、それも昨日出会ったばかりの、奥さんがいる年上のおじさんに抱きしめられてしまった。
そんな状況で私は「どうしよう」と思う気持ちと、「年上の男の人の腕も悪くないかも」という気持ちがごたまぜになっていることにひどく驚いた。
「だめだよ、男の人をこんな風に気安く部屋に入れちゃ」
「え……だって安宅さん、奥さんいるし……」
「瑠璃ちゃんはね、可愛いんだから。家に入れてもらったら、誰だって期待するでしょ」
私を腕の中に収めて、安宅さんは私の耳元で囁く。
ほんのりコーヒーの香りがする息が熱くて、ひどくどきどきする。
「それに、こんな可愛い子が家に入れてくれたのに触れもしないで帰るのは男としてマナー違反だからね」
そっと安宅さんの手は私の背を撫でていたけど、それが前にゆっくりと回り胸を包み込むように優しく触ってきた。
「安宅さん、名前なんていうの?」
「ヨシキ。義理に樹木で義樹。関係ないけど、弟は雅樹ね」
へぇ、私にも弟がいるけど名前は……と言おうとしたら、カップをローテーブルに置いた安宅さんは私をじっと見た。
「な、何ですか?」
「瑠璃ちゃんは、可愛い」
えっ、って脊髄反射のようにつぶやいて驚いた瞬間に、安宅さんはカップを手放して空いた手で私をぐいっと抱き寄せた。
「あ……安宅さん?」
「昨日まで、稲垣所長にこんな可愛い娘さんがいるなんて思わなかった」
そうして、もう片方の手も背に回して安宅さんは私をしっかり、本当にしっかりと腕の中に収め、抱きしめてしまった。
さっきまで「瑠璃ちゃんのお父さん」とか言ってたのに「稲垣所長」って言い替えた。
そんなくだらないことに気付いたけど、私は付き合ってもいない男の人に、それも昨日出会ったばかりの、奥さんがいる年上のおじさんに抱きしめられてしまった。
そんな状況で私は「どうしよう」と思う気持ちと、「年上の男の人の腕も悪くないかも」という気持ちがごたまぜになっていることにひどく驚いた。
「だめだよ、男の人をこんな風に気安く部屋に入れちゃ」
「え……だって安宅さん、奥さんいるし……」
「瑠璃ちゃんはね、可愛いんだから。家に入れてもらったら、誰だって期待するでしょ」
私を腕の中に収めて、安宅さんは私の耳元で囁く。
ほんのりコーヒーの香りがする息が熱くて、ひどくどきどきする。
「それに、こんな可愛い子が家に入れてくれたのに触れもしないで帰るのは男としてマナー違反だからね」
そっと安宅さんの手は私の背を撫でていたけど、それが前にゆっくりと回り胸を包み込むように優しく触ってきた。

