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人魚島
第8章 能力
『中卒か?どうすんの?結婚してやれよ?』

適当に相槌する坂本さんに今更ながらこの人に相談すべきでは無かったなと考えた。

『嫌ですよ、まだ仕事楽しんで無いですし』

『馬鹿、この仕事にゃ終わりはねぇよ、救われねぇ仕事だよ、ジジィになる迄働いても楽しめねぇよ』

『フンッ』と鼻を鳴らしながらケントを灰皿に押し付ければ、すかさずボーイが灰皿を交換する。
こう言う細やかなタイミングは優良店みたいだ。

『だいたいな、こんな良い女なかなか東京広しとは言えどなかなか居ねぇよ?』

『そうですか?』

『自覚が無いのね、ちゃんと捕まえとけよ?結婚するなら彼女を東京に呼ぶのかよ?』

ウイスキーを一気に呑み干しながら坂本さんが続けた。

『東京暮らしなら持ち家なんだろ?長男なんだろ?あん?』

『はぁ、まぁ、そうですが、花子は広島に来て欲しいらしいっす』

『広島だぁ?遠いし『~けん~けん』うるさいとこだろ?紅葉饅頭しかねぇとこだろ?』

『広島城もありますよ?』

『知らねぇよ、詳しくねぇもん』

配られたメニュー一覧表から巨峰の寄せ集め1500円を注文し、早速運ばれたそれを残さず食べやがる坂本さん。

『とにかく漁師にはなりたく無いんです』

『漁師なんだ、数ヶ月は海の上じゃん』

『はい、味気無いです』

僕がウイスキーを呑み干し巨峰に手を伸ばせば『ラストはお前のもんだ』と一粒僕に手渡し水割りのウイスキーを作ってくれる。
坂本さんは饒舌に『まぁ、20代は遊んどけよ』やら『結婚してやれよ』とフラフラしているでは無いか。

『とにかくね、僕はこの職業せめて頑張りたいんすよね』

『アホらしい、成り上がりてぇなら外資系行くしかねぇよ、英語出来んのかよ?』

『生憎道案内程度しか無理です』

『ああ、俺よかひでぇな…なぁ、10時だ、風俗行くぞ?』

立ち上がりレジに向かう坂本さんに付いて行く。
何故だか1万600円円請求された。
坂本さんが顎を突き出し『早く精算しろよ』と笑うので『奢りじゃ?』と震えれば『クレジットカードあんだろ?広瀬にラブホテル奢ったんだろ?』と僕の鞄から財布を取り出した。
頑張って就職祝いで購入したPaul Smithの長財布を開けて『レシートだらけじゃん』と眉ねを寄せる坂本さん。

『精算しろよ?』

『はぁ、まぁ、仕方無いですね、次は無いですからね?』
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