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第13章 人間道

真理子さんは僕の4～5歩先を歩きながら黙って進んでいく。
僕も黙ってそれに続く。

トマトや茄子、キュウリが植えられた畑沿いのアスファルトを歩いていく。

『真理子さん、どこ行くの？』

『いいから黙って歩きなさい』

真理子さんは背中を向けたまま答える。

『戻らない？』

『どうして？』

真理子さんは相変わらず背中を向けたままどんどん歩いていく。

『どうしてって………なんだか雨が降りそうだよ？』

晴れていた青空は分厚い雲を浮かばせている。それが時折ゴロゴロと唸り、灰色をにじみ出し始めていた。

『いいじゃない雨が降ったって』

真理子さんは淡々と言いながらどんどん歩いていく。

僕は黙って真理子さんについて行った。

ゴロゴロゴロ…空が鳴く。辺りは暗くなり、その灰色の雲で日差しを遮断した。

『真理子さんってば』

僕が言った瞬間、ザアッと音を立てて大きな雨粒が落ちてきた。

空気が一瞬で冷え込み、聞こえていた竹林が揺れる音も聞こえなくなる。

『真理子さんッ！』

大きく声を上げて僕は真理子さんに駆け寄る。

ゴロゴロゴロゴロ…低気圧なのか、空が電流を鳴らす。

『あはは…降ってきちゃったね』

真理子さんは笑って僕を見上げる。