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愛されたくて ~わたしってイケナイ人妻ですか?~
第8章 京都の彼…初デート

彼の車がとまった。
隣りには私の車がある。
でも私は
なかなか彼の車を
降りることが出来ないでいた。
なんだかこれが
最後の別れになるような気がして…。
じっと座ったまま
うつむいていた。
彼も何も喋らない。
車の中には
ただ私のすすり泣く声だけ…。
ふいに彼の指が私の涙を拭った。
驚いて彼の顔を見た
私の顎を持って上を向かせると
優しくキスをしてくれた。
唇と唇が触れるだけの
優しいキス。
そして
唇がはなれると
私の身体をぎゅっと抱きしめた。
私もそっと
彼の背中に腕を廻した。
その手に
力を込めようとしたとき
彼が言った。
『さっきのは
お土産やからな(笑)』
彼を見上げると
照れくさそうに笑っている。
これが精一杯の
私への思いやりなんだろう。
「ありがと…」
そう言って
手で涙をぬぐうと
私はそっと車を降りた…。

