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愛されたくて ~わたしってイケナイ人妻ですか?~
第17章 亮輔…失った記憶

主人と娘が寝静まった後
鏡に映した背中を見ながら薬を塗り
毎日ガーゼを取り替える。
こんなことを何日繰り返せば
傷は治るんだろう…?
先の見えない不安が押し寄せてくるのを
ぐっと堪えながら背中を見る。
そこには
化膿して
どす黒く変色した
とても汚い傷があった。
痛みに耐えながら薬を塗り
清潔なガーゼで傷を覆う。
ちゃんと病院に行けば良かったんだろうけど
こんな背中を他人に見せるのも嫌で…。
あいかわらず
亮輔からのメールは届いていた。
無事に帰れたこと。
名義変更したこと。
そして
また逢いたいってこと…。
もちろん私はそんな気にはなれず
ちゃんと断った。
もう二度と会いたくない。
メールの返事もしたくない。
出来るなら
亮輔に会う前の私に戻りたい。
あのとき
バイクをあげるなんて
言わなければよかった。
亮輔の都合に合わせて
夜にするんじゃなかった。
カクテルを飲まなければよかった。
そんなことばかりが
頭の中をぐるぐる回っている。
考えても
どうしようもないのに……。

