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ジャンクフードでできている
第25章 わたしのムー
高架下の古いパン屋に猫が住む
私の赤い自転車の前かごには
焼き立てのクロワッサン
バターの香りが漂う店前の
サンシェードの影の下で
私は新しい靴の踵を鳴らしてみる
女将さんは常連の世間話に付き合っていて
すいっと伸びる手がまるで指揮者のよう
銀色のトレイ、トングは整然と
磨かれて或るべき場所に
それを手にしたおさげの娘は
カチカチと鳴らして
菓子パンを見る
店の奥の竈には今焼き上がらんとする
パン達がいて、旦那さんが汗を流して面倒をみてる
蓋を開ければ熱気と香ばしい香りが充満する
乳母車を押した婦人も店先で
覗けば赤子の鼻がくんくん
小さな手足をジタバタ動かしている
空には雲が流れて
棚の上では猫が髭をなめ、あくびをする
がたんごとんががー
高架を過ぎる電車の音が響く
たくさんの人達を乗せて
そのほとんどが足元のこの店に気づかないまま
通り過ぎていく
ここには私のすべてがある
幸せとはこういうこと
私はクロワッサンを手にしてサドルに座る
両軸のスタンドを立てたまま
ペダルを踏めば
カラカラと後輪が回る
そう、輪となって回る、円
目を閉じて、クロワッサンを頬張る
サクッという食感に加えて匂いが鼻奥から広がる
咀嚼すれば唾液が溢れる
そうして、そうしてゆっくり目を開ける
誰が何と言おうと私は私
そう確認して
スタンドを外せば
自転車は進み出す
高架下を抜け、少し回り道をして帰る
アキアカネが飛んでいる
「高架下にて」
私の赤い自転車の前かごには
焼き立てのクロワッサン
バターの香りが漂う店前の
サンシェードの影の下で
私は新しい靴の踵を鳴らしてみる
女将さんは常連の世間話に付き合っていて
すいっと伸びる手がまるで指揮者のよう
銀色のトレイ、トングは整然と
磨かれて或るべき場所に
それを手にしたおさげの娘は
カチカチと鳴らして
菓子パンを見る
店の奥の竈には今焼き上がらんとする
パン達がいて、旦那さんが汗を流して面倒をみてる
蓋を開ければ熱気と香ばしい香りが充満する
乳母車を押した婦人も店先で
覗けば赤子の鼻がくんくん
小さな手足をジタバタ動かしている
空には雲が流れて
棚の上では猫が髭をなめ、あくびをする
がたんごとんががー
高架を過ぎる電車の音が響く
たくさんの人達を乗せて
そのほとんどが足元のこの店に気づかないまま
通り過ぎていく
ここには私のすべてがある
幸せとはこういうこと
私はクロワッサンを手にしてサドルに座る
両軸のスタンドを立てたまま
ペダルを踏めば
カラカラと後輪が回る
そう、輪となって回る、円
目を閉じて、クロワッサンを頬張る
サクッという食感に加えて匂いが鼻奥から広がる
咀嚼すれば唾液が溢れる
そうして、そうしてゆっくり目を開ける
誰が何と言おうと私は私
そう確認して
スタンドを外せば
自転車は進み出す
高架下を抜け、少し回り道をして帰る
アキアカネが飛んでいる
「高架下にて」

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