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第30章 それぞれの、生きる場所…
家に帰って
練習メニューを見直していると
アイルがひょっこりと顔を出す。




『……ハーブティー、飲む?』


『ん?…あぁ…ありがと』







『忙しいね……』


『ごめんな……どこも、行けなくて…』







『そうじゃなくって・・・

リョウキ・・・肩に力入ってる……』






『え…』


アイルがソファに並んで腰を下ろし
オレの手からそっと書類をとる。





『……練習メニュー…へぇ…

教える人って、こうやって考えたり

準備するんだ…』



『~~~』






『少し・・・休まない?』



『……うん』





アイルの入れてくれたハーブティーに
手を伸ばして一息つく。






『んっ……!?』

〃こ、こぼれる〃





『ふふ……』


アイルがオレの左脚に手を伸ばして
ほぐし始める。




『自分のメンテナンスは

間に合ってるの?~・・・』




『~~…』




『眉間もシワよりすぎ…肩凝ってるよ…』





アイルが微笑みながらオレの身体中を
やわらかい手でほぐしてくれる。


そして


途中から……



ただほぐしてるっていうより……




『~~……なんで

そんなコトできる……?』






病院で受けるようなマッサージ……?







『これは……ケイゴさんに習ってきた

まだ・・・簡単なのしかできないけど』





『……え?……って

会ったのかよ・・・;💧?』







『…私が…無理言って

お願いしたの・・・ふふ、特別…』






『~~……』






『んっ……力・・・どうかな?

もっと強いほうがいい?』





アイルが段々、汗ばんでくる。




ただでさえゴツくてデカイ

筋肉量を増やしてきてるオレの体に

小さな手はあまりに弱々しい……。





『平気だよ。

そんな気張るなよ。……疲れるだろう?』






『リョウキに
ストレッチ教えてもらったから
私はメンテナンスできてるよ』





あ……体が暖まってくる

……心も・・・かな。





『すっげぇ気持ちいい……』



『ほんと?…ふふっ、嬉しい』







アイルがうれしそうに笑う。

ほんとに…うれしそうに。
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