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王子様は、きらきら星の住人
第2章 十六歳の誕生日
真由はもの心ついた幼い頃から音には敏感だった。
自分にとって心地よい音と、そうでない音との差が激しく、後者の場合には恐怖さえ感じたものだ。
赤ん坊のころ、泣く真由をあやそうとして真理子がガラガラを振ったが、真由には逆効果でしかなく、泣き叫びを通り越してしまいにはひきつけを起こしてしまったらしい。
どんなに酷く泣きわめいていても、慎が呼び掛けるとピタリと泣き止んだ。
おそらく、優しげなトーンの声が真由の鼓膜に心地よい振動を与えたのだろう。
カンが強くて昼間は泣き通しだった真由も、慎が仕事から帰ってくれば嘘のように大人しく、真理子がよくこうこぼした。
『私がどんなに頑張っても真由ちゃんは泣き止まないのに、慎さんにはニコニコ笑うんだから……』
成長するにするつれて真由の過敏症は和らいでいったが、音の好き嫌いは16歳になった今でも完全にはなくなっていない。
こういう店のBGMの大半が真由の苦手とする音だ。
鞄の中のヘッドフォンに手をかけるが、悲しげな笑顔を浮かべる、一ヵ月ぶりに対面する父を目の前にしてさすがにそれはできず、深呼吸を繰返し、不快感をやり過ごす。

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