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熱・愛・契約~熱・愛・事変
第2章 出逢い、夏フェス
「――うわ――っとおおおっ」
突然の身体の重心が崩れる感覚と共に、尻に硬い感触と痛み。
同時にガラガラと何かが落ちる音がして、堺雅也(さかい まさや)は咄嗟に両腕を伸ばした。
半袖のデニムから覗く二の腕と掌に、馴染んだカメラの機材が納まっていた。
同時にとてつもない眩しさに瞼を閉じ、湿気を含んだムンとした暑さを肌に感じる。
「――堺ちゃんったら!大丈夫?よくこんな中居眠り出来るわねえ」
頭上で呆れた声が聞こえ、条件反射で「すいません!」と謝ると、其処に立っているのは上司の芝原七海(しばはら ななみ)ことペコチーフだった。
「うおおおお――っ」
「まゆりーん!」
「なっちーん!!」
ペコチーフの真後ろから野太い怒号のような叫びが聴こえ、堺は「うわあっ」と驚くが、どうやら叫んでいるのは一人や二人ではないようだ。
ここは広大な野外のライヴ会場で、柵を乗り越えんばかりの勢いで、ステージに向かって若人たち――主に十代後半から二十代初めの男だが――
拳を突き上げ身体を揺らしタオルを振り回し、絶叫している。

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