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熱・愛・契約~熱・愛・事変
第2章 出逢い、夏フェス
「……ステージの方は、麻哉達が何とかやるから大丈夫……」
目の前で小さな花弁の様なピンクの唇が動き、しのの声が聞こえるが、堺は言葉の意味を理解するのに何秒かかかった。
アイドルという人種――オリオンの少女達をテレビ画面や遠巻きには見たことはあるが、こんなに間近で相対するのは初めてだった。
正直どう接してよいのか分からない。
ファインダーを通して被写体としての彼らに語りかけたりするのは得意だが、初対面でいきなりこんなに密着した状態で話をするなど堺の人生で初の異常事態だ。
「そっ……そそそそれは良かった」
堺は視線を泳がせながらしどろもどろだ。
カメラを手にしていない時の堺は刀を奪われた剣士のように所在無げで自信なさげで頼りなく見える。
しのは不思議に思う。
(さっきはあんなに怖い顔をしてスタッフを睨んでたのに、今は顔を真っ赤にしてるし……なんなんだろう、この人)

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