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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第21章 まもなく境界線に、電車が参ります
やがてそれらが遠ざかり、神依の体が動き出すのと同時にもそもそと顔を出せば、すぐにまた違う世界が周囲に広がっていることに気付いた。
後ろを見れば来た道は深い森に覆われており、くぐったばかりの門は影も形も失せている。遠くであのガタンゴトンという不快な音が聞こえてそちらを見れば、海とも見紛う程の水を囲むようにぐるぅりと、光の蛇が地をものすごい速さで……なのにのっぺりとした様で、走っている。
生き物のように見えるのに生き物ではない。顔が無い。それらしきものは先頭にあるのだが、尾も変わらない。のっぺらぼう。そして不気味な程に揺らがない四角の鱗は、自分のものと比べると気色悪い。体に穴が開いているようだった。
「キュ……」
「……」
それは子龍にはとてつもなく嫌なものであるような気がして、すぐに視線を反らし、立ち尽くす巫女の視線の先を共に見遣る。
けれどもやはりそこにあったのは黄と黒の縞、毒を持つ蛇のような色をした細長い対の棒。
──そして、
「──…神依」
「……」
その向こうに佇んでいたのは、あたかも女がそこから出てくることを知っていたかのようににこやかな笑みを浮かべる、一柱の天津男神。走る蛇の殼を背にこちらを見つめる、あの、美しい男神だった。
.
後ろを見れば来た道は深い森に覆われており、くぐったばかりの門は影も形も失せている。遠くであのガタンゴトンという不快な音が聞こえてそちらを見れば、海とも見紛う程の水を囲むようにぐるぅりと、光の蛇が地をものすごい速さで……なのにのっぺりとした様で、走っている。
生き物のように見えるのに生き物ではない。顔が無い。それらしきものは先頭にあるのだが、尾も変わらない。のっぺらぼう。そして不気味な程に揺らがない四角の鱗は、自分のものと比べると気色悪い。体に穴が開いているようだった。
「キュ……」
「……」
それは子龍にはとてつもなく嫌なものであるような気がして、すぐに視線を反らし、立ち尽くす巫女の視線の先を共に見遣る。
けれどもやはりそこにあったのは黄と黒の縞、毒を持つ蛇のような色をした細長い対の棒。
──そして、
「──…神依」
「……」
その向こうに佇んでいたのは、あたかも女がそこから出てくることを知っていたかのようににこやかな笑みを浮かべる、一柱の天津男神。走る蛇の殼を背にこちらを見つめる、あの、美しい男神だった。
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