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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第21章 まもなく境界線に、電車が参ります
【1】
「──いただきます!」
「キュッ」
神依が手を合わせてぺこりと頭を下げると、子龍もそれに倣う。
素戔鳴と櫛名田の元を離れてしばらく──歩き疲れてお腹が空いた神依は、平らな岩を見つけるとそこに座り込んで、早速おにぎりの包みを広げていた。小高い丘の上だった。
竹の皮に包まれた三つの小さなおにぎりには自分が好きだったお漬け物も添えられていて、改めて心の中で櫛名田への感謝の言葉を呟く。
少し時間の経ったおにぎりは海苔もしっとりとしていて、一口頬張れば、塩が馴染んでなおお米の甘さが引き立っているのが分かった。冷めてもまだどこか、人肌に似たぬくもりと柔らかさを内包している。海苔と塩と米だけでこんなにも美味しいものが作れるのは、やっぱりお母さんの愛情も一緒に握られているからだ。
(……嬉しい)
食べながら眼前の景色を眺めるが、そこにあるのは薄暗闇と黒い稜線、深そうな森。こちらは味気ないものだったが、不思議と心は落ち着いていた。
御殿を出て少しすると、神依は普段淡島で目にしていたような、草むらや畑、木立に囲まれた細い道に行き当たった。泥道や、河原のような石の道を歩むよりは遥かに自分が歩き慣れた土の道。
「──いただきます!」
「キュッ」
神依が手を合わせてぺこりと頭を下げると、子龍もそれに倣う。
素戔鳴と櫛名田の元を離れてしばらく──歩き疲れてお腹が空いた神依は、平らな岩を見つけるとそこに座り込んで、早速おにぎりの包みを広げていた。小高い丘の上だった。
竹の皮に包まれた三つの小さなおにぎりには自分が好きだったお漬け物も添えられていて、改めて心の中で櫛名田への感謝の言葉を呟く。
少し時間の経ったおにぎりは海苔もしっとりとしていて、一口頬張れば、塩が馴染んでなおお米の甘さが引き立っているのが分かった。冷めてもまだどこか、人肌に似たぬくもりと柔らかさを内包している。海苔と塩と米だけでこんなにも美味しいものが作れるのは、やっぱりお母さんの愛情も一緒に握られているからだ。
(……嬉しい)
食べながら眼前の景色を眺めるが、そこにあるのは薄暗闇と黒い稜線、深そうな森。こちらは味気ないものだったが、不思議と心は落ち着いていた。
御殿を出て少しすると、神依は普段淡島で目にしていたような、草むらや畑、木立に囲まれた細い道に行き当たった。泥道や、河原のような石の道を歩むよりは遥かに自分が歩き慣れた土の道。

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