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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第20章 待ち人
それが安易に想像できて、日嗣はかなりの神経をそちらに割くことになり、戦うにはますますの悪循環に陥っていた。
その間にも、彼女が決まった糸──縦糸だけを選んで足場にしていることに気付き、それに粘着性が無いことだけは確認できたのだが、日嗣がそれを利用し始めればまた骨蜘蛛もそれに気付いて、ふとその動きを停める。真っ白な糸が潮(うしお)を描く黒耀の壁に、本当に蜘蛛のように貼り付いて。
内心、日嗣は一瞬でも立ち止まってくれたことに安堵して……それでも近寄り難い存在であることには変わらず、距離を保ったまま死の女神と向かい合った。ただ、自分にしてはおかしな言い様だが、女とは刃を交わすより、言葉を交わした方がまだ楽な気がする。
不思議と呼吸が合い、しんと出来あがる二人の間(ま)。日嗣が体の軸を変える時にだけ、体重をかけた足の下にあった枯れた草花がくしゃっと乾いた音を立てた。
そして、目の前の男がもう得物を振り回す気などないことに気付いた女は、ぐにゃりと白い体を持ち上げると近くに垂れ下がっていた糸を頬に寄せ、嬉しそうに笑う。
『──驚いた、まさか糸の違いに気付くなんて。新しいあなたは、女の手仕事までこんなに細かく見て下さるのね』
「……ええ」
その間にも、彼女が決まった糸──縦糸だけを選んで足場にしていることに気付き、それに粘着性が無いことだけは確認できたのだが、日嗣がそれを利用し始めればまた骨蜘蛛もそれに気付いて、ふとその動きを停める。真っ白な糸が潮(うしお)を描く黒耀の壁に、本当に蜘蛛のように貼り付いて。
内心、日嗣は一瞬でも立ち止まってくれたことに安堵して……それでも近寄り難い存在であることには変わらず、距離を保ったまま死の女神と向かい合った。ただ、自分にしてはおかしな言い様だが、女とは刃を交わすより、言葉を交わした方がまだ楽な気がする。
不思議と呼吸が合い、しんと出来あがる二人の間(ま)。日嗣が体の軸を変える時にだけ、体重をかけた足の下にあった枯れた草花がくしゃっと乾いた音を立てた。
そして、目の前の男がもう得物を振り回す気などないことに気付いた女は、ぐにゃりと白い体を持ち上げると近くに垂れ下がっていた糸を頬に寄せ、嬉しそうに笑う。
『──驚いた、まさか糸の違いに気付くなんて。新しいあなたは、女の手仕事までこんなに細かく見て下さるのね』
「……ええ」

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