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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第18章 垂る穂
「残念ながら……その末は、ありません」
 そしてそれを受け取り再び身に携えた日嗣は、すぐ近くに座して傍観してくれていた伍名と、ずっと後ろに在って見守ってくれていただろう友を見遣る。
 そのどちらの眼差しも今の日嗣には必要で、ありがたいものだった。
 「あの子を、頼みます」
「……、はい」
「……」
最後に、散っていく神々の中で伍名にそう語りかけられ、その短いながらもへりくだる肯定の言葉を選んで返せば……伍名は満足そうに、笑う。

***

 またその間……淡島の奥社では、同じように一柱の男神と一人の巫女を想い、必死に布を織り縫い直す巫女達の姿があった。
 使われる糸は暴虐の嵐が去った後、あの小島の家から見つかったもの。家主の少女が想う男神のために紡ぎ染めていた、あの沢山の糸だった。
 足りない分は別の巫女達が持ちより、紡ぎ……だからその布の色はまだらで見映えは悪かったが、もう誰もそんなことは気にしなかった。
 やがて五色のその布は、ある一つの祭具に集い、結ばれる。
 それは斎水分神が巻き起こした嵐の跡から見つかった、古く、深い音を奏でる神楽鈴。
 心ある巫女達はそれを戴き、夜半、異形の神を伴い降りてきた天の神にそれを静かに託して、その男神と少女の無事を乞うた。

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