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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第18章 垂る穂
神そのものが世界であるかのようなこの世界において、全ての神に抗い、願い、乞い……それがどれだけの覚悟の証か、察せない者は誰一人として居なかった。
そしてその場に在る誰よりもその想いを知る猿彦は、いつか、自ら幼子に言った言葉を思い出す。
──“チビ、神様が一番好く人間がどんな人間か知ってるか?”
──“それはな……”
「……」
あの言葉のままに、友は今、地に在って必死にあの少女を乞うている。
天孫。日嗣。そしてただ一人の男として、もう一人の男の魂と信念、恋情まで掲げて、受け継いで。
けれどその姿は、決して惨めなものではあり得なかった。その背は自らの花の重みを誇る桜のように美しく、またその心は自らの実の重みを見せつけて垂れる穂のように、豊かなものに違いなかった。
たとえこれが神でなかったとしても、大の男にここまでされて、誰が行くなと言えるだろう。現に、先程まで文句しか垂れることのできなかった神々さえ言葉を無くし、それを乞うような目をしている。
男達は、自らの愛しい女を思い浮かべて。或いはもう忘れていた若き熱を思い出して。
また女達は少しの羨望と嫉妬と、その劇的に結ばれるだろう恋の物語の結末に夢と希望を思い描いて。
そしてその場に在る誰よりもその想いを知る猿彦は、いつか、自ら幼子に言った言葉を思い出す。
──“チビ、神様が一番好く人間がどんな人間か知ってるか?”
──“それはな……”
「……」
あの言葉のままに、友は今、地に在って必死にあの少女を乞うている。
天孫。日嗣。そしてただ一人の男として、もう一人の男の魂と信念、恋情まで掲げて、受け継いで。
けれどその姿は、決して惨めなものではあり得なかった。その背は自らの花の重みを誇る桜のように美しく、またその心は自らの実の重みを見せつけて垂れる穂のように、豊かなものに違いなかった。
たとえこれが神でなかったとしても、大の男にここまでされて、誰が行くなと言えるだろう。現に、先程まで文句しか垂れることのできなかった神々さえ言葉を無くし、それを乞うような目をしている。
男達は、自らの愛しい女を思い浮かべて。或いはもう忘れていた若き熱を思い出して。
また女達は少しの羨望と嫉妬と、その劇的に結ばれるだろう恋の物語の結末に夢と希望を思い描いて。

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