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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第17章 父が歩んだ道
蓋を開けると、真っ先に新しい糸の束とぱらぱらと散らばる水晶のさざれ、まだ何の形も成していない四角い蝋石と紙やすりが目に入った。
(何これ?)
しかしよく見るとそれらが入れられているのはお菓子の箱で、確か自分にも同じようなことをしていた覚えがあった。言うなればこれは、宝箱。自分の好きなものだけを集めた秘密の小箱。水晶には穴が開けられていたし、手芸用だろう。
 こういうところには少し、親近感を持てる。自分だって、綺麗な玉を紐に通して世界で一つの飾りを着けることは楽しかったし、どこか誇らしかったものだ。
 けれども、それでもやはり少女はどこか異端で、受け入れ難いものだった。
 それが何故かは分からない。男神の寵愛深きを除いても──最もすんなり腑に落ちる言葉を選ぶなら、「生理的に無理」なのだ。神の子と頭では理解しているはずの水霊……あの子龍も、いやに気持ち悪い。
 排除しなければ、という気持ちになる。
 「……」
どこから見付けてきたのか、宝石にも近い綺麗な輝石や、ばらけてしまったけれどお気に入りだったであろう首飾り。その櫃に収められていたものはこんなにも、かつて、流れ着いた頃の自分と変わらないもののはずなのに。
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