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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第17章 父が歩んだ道
誰も何も言わないが、胸には確かに、この巫女はもしかしたら──“禊”の全てを知っているのではないかという疑問が浮かんでいた。
だとしたら……。
……否、それでもやはり“禊”達に取って己の主は家の中で醜態を晒している巫女達であり、自分達がこの虜囚の巫女にできることは、本当に細やかな慈悲を間接的に与えることだけだった。暴風吹き荒れる女達の心が落ち着くか、この哀れな巫女が一秒でも早く神に屈して楽になるよう、願うことだけだった。
──無力だった。意志すら無い。
しかしその時、
「ね……ねえ、ちょっと」
彼らの耳には確かに、ある種今までとは異なる意思を宿した女の声が届いて、皆なんとなくそちらを向いた。
***
皆が文に夢中になる中、その巫女は更に何か秘されていないかと神依の部屋を見回していた。押し入れや箪笥、それより小さな物入れや化粧箱は既に広げてある。文机の引き出しには特にめぼしい物もなく、ふと、その隣にあって文箱を隠すのに一役買っていた小さな櫃に目を留めた。
硯箱はあったが筆箱も見当たらないし、一緒に紙でも入っているのか。
だとしたら……。
……否、それでもやはり“禊”達に取って己の主は家の中で醜態を晒している巫女達であり、自分達がこの虜囚の巫女にできることは、本当に細やかな慈悲を間接的に与えることだけだった。暴風吹き荒れる女達の心が落ち着くか、この哀れな巫女が一秒でも早く神に屈して楽になるよう、願うことだけだった。
──無力だった。意志すら無い。
しかしその時、
「ね……ねえ、ちょっと」
彼らの耳には確かに、ある種今までとは異なる意思を宿した女の声が届いて、皆なんとなくそちらを向いた。
***
皆が文に夢中になる中、その巫女は更に何か秘されていないかと神依の部屋を見回していた。押し入れや箪笥、それより小さな物入れや化粧箱は既に広げてある。文机の引き出しには特にめぼしい物もなく、ふと、その隣にあって文箱を隠すのに一役買っていた小さな櫃に目を留めた。
硯箱はあったが筆箱も見当たらないし、一緒に紙でも入っているのか。

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