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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第16章 白日の下
 ……。
 ……それは私にもよくわからない、不思議で、いびつな、まだ柔らかそうな心と感情。
 だけどそんな同情も、日毎に一枚、薄皮をはがしていくように失われていってしまう。なまじ柔らかいから捻くれて、よじれてしまうのだろうか。
 だけど、でも、そうでなければいけない。そうでなければ、もしかしたらあの人を横取りする子が出てきてしまうかもしれない。あの人はとても美しいから、ただそこに佇んでいるだけで女の心を乱してしまう。
 ましてやこの子は、既にあの人と言葉を交わした子。気を付けないと。
 それに加えてあの人は優しいから……優し過ぎるから、きっと気にする。だからあの人の優しい心が煩うことが無いくらい大事にして、今度こそ、今度こそ良いところを見せて、認めてもらいたかった。よく頑張ったとその胸に抱いて、その身を褒美に頂きたかった。
 けれども少女はまた、今まで私が迎えてきた巫女達と同様に──否、それ以上に。私のことを格別に慕ってくれているようだった。
 私はその血統を確かめることもしなかったが、この子のすがるような目が嫌いではなかった。乞うような眼差しが嫌いではなかった。敬う言葉も、喜ぶ言葉も嫌いではなかった。
 私は洞主様が私にしてくれたようにこの子を世話して、気に掛けた。
 だけど──でも──きっと、多分。
 あの人のために。
 それだけではなかったはずなのに。
 何人もの子を流したはずの私が、初めて……得たはずのものだったのに。
 “それ”が憎しみに転じたのは、いつだったろう──。
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