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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第16章 白日の下
 ──まだ足りないの?
 ──あなたに愛されるには、まだ私は相応しくないの?
 ──もっと美しく、もっと賢く、もっと優しく、もっと強く、もっと、もっと、もっと。
 私は悟った。
 そんな、最高の女でなければあの人は振り向いてはくれない。

 「……私はね、玉衣──できることならお前を高天原に召し上げて、本当に人を愛することを教えてあげたい。愛されることを教えてあげたい。お前が、お前の目の前に積み上げられた、玉や衣を退(の)けることができるなら──代わりに私は、私の心を捧げよう」
そう言って、満たされない私の心を慰めてくれる神もあった。
 けれど──
「あなた様が何を仰っているのか、私には分かりませぬ。私はもう人を愛する喜びも愛される喜びも存じておりまする。玉も衣も、元より私には要らぬもの。けれどそれが無ければ、あの方に相応しき姿にはなれぬのです。
あなた様が下さるのはその操の心を惑わす甘い言葉と、この身を溶かす極上の快楽だけ──それでも私は巫女として、それを玉と衣の代わりに受け入れましょう。私を求めるならば、あなた様はあなた様を慕う全ての妻神と妻巫女を退け、私一人をその胸に抱いて、私の全てをとろかして狂わせて下さいませ……」
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