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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第15章 文枕
「──…して? なんであればっかり」
「よっぽど……じゃない。それで男をたぶらかしてるの」
「……よね、……最低」
「穢いのよ……本当に、」
男に吸い付く女蛭(めひる)。
水の流れに、梢のざわめきに混じって聞こえる中傷は、もはやそれさえも日課になっているように巫女達の唇からこぼれ、神依の頬をかすめていった。
禊が傍らに立ちなるべくその頬を人目に晒さぬよう気を配ってはいたが、空気に混ぜられた毒までは振り払えない。水の森はただ神依への嫉妬と誹謗中傷を交わす間ともなり、これが日没まで繰り返されているのかと思えば斎水別神にも申し訳なくなってしまう。
そしてそこには、直接手を下せない憤りも、下さない卑劣さも織り交ぜられていた。
それから更に数日が経つと、禊にはもう一つ目につくことが出てきていた。
「……?」
巫女の多くが同じ赤い花を捧げ始め、日に日にあの花の台座が赤く染まっていく。
溢れて川に落ちていく花弁はまるで血のようで、神依さえそれに気付いて不安に瞳を揺らすほどだった。
乾かない傷から滴る鮮血。
それは溶けることなく流れる水の上をたゆたい、花藻を摘む神依の腕に貼り付いては、底にいざなうよう日々うずを描いていた。
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「よっぽど……じゃない。それで男をたぶらかしてるの」
「……よね、……最低」
「穢いのよ……本当に、」
男に吸い付く女蛭(めひる)。
水の流れに、梢のざわめきに混じって聞こえる中傷は、もはやそれさえも日課になっているように巫女達の唇からこぼれ、神依の頬をかすめていった。
禊が傍らに立ちなるべくその頬を人目に晒さぬよう気を配ってはいたが、空気に混ぜられた毒までは振り払えない。水の森はただ神依への嫉妬と誹謗中傷を交わす間ともなり、これが日没まで繰り返されているのかと思えば斎水別神にも申し訳なくなってしまう。
そしてそこには、直接手を下せない憤りも、下さない卑劣さも織り交ぜられていた。
それから更に数日が経つと、禊にはもう一つ目につくことが出てきていた。
「……?」
巫女の多くが同じ赤い花を捧げ始め、日に日にあの花の台座が赤く染まっていく。
溢れて川に落ちていく花弁はまるで血のようで、神依さえそれに気付いて不安に瞳を揺らすほどだった。
乾かない傷から滴る鮮血。
それは溶けることなく流れる水の上をたゆたい、花藻を摘む神依の腕に貼り付いては、底にいざなうよう日々うずを描いていた。
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