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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第12章 天津水
【1】

 ぱちゃ、ぱちゃと小さな水の音だけが部屋の中に響く。
 禊は柔らかい浴布に湯を含ませ、再び主となった少女の背を優しく撫でた。汗で湿る肌を清め、情欲に濡れた恥部を禊ぐ。
 その間互いに言葉を交わさず、神依は気まずいのと怖いのと、嬉しいのと恥ずかしいのを少しずつ混ぜた心持ちでじっとしていた。あと、ちょっとだけ眠いのもある。それは習慣からくるものもあったし、体の疲労もあった。薬はもう抜けているようだったが、とにかく酷くだるい。
 しかしこの沈黙の原因は眠気以上に、伍名が去ったあと不意に戻ってきた理性と、それによってもたらされた尋常ではない羞恥心のせいだと溜め息を吐(つ)いた。
 伍名に含まされた媚薬は体を過敏にし、禊には女として求められ……はしたなく悶え、嬌声を上げる姿を童にも見られてしまった。あんな純朴そうな子に、あんな恥態を晒してしまった。
 しかも今でさえ一糸纏わぬ姿で禊の前にある。挙げ句、秘裂まで清められて──。
 そう考えれば考えるほど恥ずかしくて、自己嫌悪に陥って、神依はぐしゃぐしゃになった寝着を引き寄せ胸元に抱いた。
 「……申し訳ありません」
それを見た禊は目を伏せ、小さく呟いた。
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