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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第11章 連理
 その問いに禊は長い長い時をかけて沈黙し、やがて頷く。
 「……伍名様。貴方の娘が男泣かせなのは、きっと貴方の血のせいだ、と……どうか神依様の、父神様にお伝え下さい」
「おや。それは──…そうだな、一理ある。うん、心に留めておくようにしよう」
「──禊!」

***

 そうして神依は後に、
「姉ちゃんに尻尾が生えてくるならここからだよな」
「うん、そしたら鼠軼様に尻尾で物を取る方法を教えてもらうんだ」
「……ただでさえ貴女は振る舞いが奔放なのに、猿の位まで落ちるのは辞めていただきたいのですが」
と、ふざけて言葉を交わせるくらい、その夜のことを良い方に向かわせることができた。
 伍名の朱印は童が言う通り、神依が自分で確かめるにはなかなか難しい場所に刻まれたが、禊や童いわく、土の色を混ぜた赭(そお)の色をしているという。
 しかし伍名が何を思ってその場所を選んだか、神依は問わない。伍名もまた朱印について語ることはなかったが、たまに訪れては二人で穏やかな時を過ごすこともあった。

 ただその日の晩、神が姿を消した後──しとしとと降り始めた薄い雨の中、禊はようやく、“禊”という自らのことを語り始めた。

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