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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第22章 天孫降臨
 空から降臨して、この国のあらゆる命の源の中に佇む瑞々しい男神を記憶と心に焼き付けて、意識は徐々に薄れていく。
 「神依──」
代わりに目を開いた日嗣は、台座の淵にあって今にも崩れ落ちそうな巫女を視界に捉えて、すぐにその稲穂の海から飛び立った。
 御霊祭の時と同じ──はらはらと落ち宙を舞う光や玉水の中、日嗣は眠りに落ちゆく少女に手を伸ばす。
 その体を受けとめたのはほとんど空中で、自分のために限界をおして舞ってくれた巫女を、日嗣はその腕で強く強く抱きしめた。今度こそどこにも行かせないよう、離れていかないよう──自分の体すら残った縁に絡むよう、強く強く抱いた。
 「……!」
──その瞬間、唐突に視界が真白に爆ぜる。
 一緒に浮いていた水や光が一斉に爆ぜたのではないかと思うほど、空も大地も辺りが純白の光に包まれ、何も見えなくなった。
 ──二人しかいない世界。
 それが己では量り知れない現象であることはすぐに理解できた。
 瀑布に呑まれたわけでもなく、切迫感があるわけでもない。ただ抗おうと思っても抗えない。
 (──どこかへ誘(いざな)われている)
 それだけを感じた日嗣はただ落下する感覚だけを残し、ゆっくりと目を閉じた。


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