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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第22章 天孫降臨
 神霊が依るという、幸たる名を持つ淡島の巫女が得る未知の神からの詞。それは神依自身が犯していた間違いを示し、正せと宣う。正すために、自らの神性を認め、興せと。
 (そう……だったの……)
そしてその詞を正しく理解した神依は、一度だけ深々と頭を垂れてその神に過ちを詫びた。
──今自分が犯していた過ちは、過去に日嗣が犯した過ちと全く同じ過ち。
 それを知り、鈴の柄を握り直した巫女に、道を譲った姉妹の女神もまたその意を悟って左右に別れる。その舞巫女の一を佐(たす)けるよう、空いた空間を護って。
 鈴を持つ少女の顔は、もう何かに怯えるものではなかった。身の内に潜ませていた何もかもを解放して、数多の神に稀なる才と讃えさせた何かを宿して、何かを見極め、荒れた世界を鳥のように見渡す。
 その目に何がどう映っているのか、神たる自分達にも分からない。けれどその眼差しが無ければ、神は神として存在できない。神に取っては、存在を許され、人の情愛を感じられる唯一のもの。
 大蛇もまたその巫女の変化に気付き、その動きを変えていた。自らのものにならない怒りを日嗣ではなく神依に向け、今度は逆に、日嗣を盾に神依を脅す。吼える。嘆く。
 ──私より、男を選ぶのかと泣く。
 口さがない噂だと信じていたのに、信じていたのに──そう泣き喚く。
 ──それでも、神依はもう迷わなかった。
 自分が親不幸な娘であったことは、もう知っている。
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