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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第22章 天孫降臨
 あの夏の日、夏の午後。ある神に引き揚げられ、その身に朱き印を──そして“神依”という名を刻まれるまでは。

***

 そして日嗣は、理解する。私の、と狂ったように叫ぶ声にようやく理解する。
 神依の仮世のことは知らないが、一番長く、一番しつこく神依を求めて止まない最後の首は、──。
 「……神依がずっと淡島に交われなかったのは、……お前達が残っていたからか」
日嗣がそれを呟けば、大蛇もまた一度は剥き出しの刃を収める。
 ゆらゆらと空を眺めるように宙で揺れ、ただひたすらそうだ、だからあれは自分のものだと慟哭する。
 「……」
今もずるずると神依にまとわりついて離れない、わだかまって動くことができなくなってしまったその感情は、本来水蛭子達は皆捨て去ってくるはずのものだ。けれども、いわば早産の形で淡島に生まれ出た神依には、それがまだ結びついていた。神依は無意識にそういう異界のものを内包していて、それが神依を淡島の異物たらしめてしまっていた。
 日常の中に突然投げ込まれた異物。
 結局神依は自身の知らないところで、二つの世界を跨いでそんな異質な存在となってしまっていたのだ。
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