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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第22章 天孫降臨
合間合間にも、変わらず宙には細い稲妻が走り、大蛇は骨蜘蛛の女神に倣ったかのように縦横無尽の凶器となって日嗣の命を削り落としていく。
一つ一つは指のささくれのような、些細な削り節だったかもしれない。しかしだからこそ、長く長く痛みを帯びる。
けれども日嗣の剣もまた、同じように大蛇の首を削っていた。大樹を斧で穿つように、しかし神木に刃を入れる罪と畏れと、詫びたくなるような靄がかった気持ちもどこかに含んで。
それでもただ一人、恋しい女のために互いに互いを生殺しにして。
──先に届いたのは、日嗣の剣だった。
想像よりも呆気ない手応えで二本目の首が落ち、勢いよく黒の水飛沫が上がる。大蛇は先程と同じようにその痛み──おそらく激痛に悶え苦しみ、その間日嗣は肺中の空気を入れ換えるように一度大きく呼吸をすると、一片の隙も与えず続けざまに空を駆け剣を振るった。
暴れ狂う首を避け、一太刀を浴びせ──そのいっそ作業的にも見える大蛇退治は、だからこそ眺めることしかできなかった神依の心にほんの少しの緩みを生んだ。
──勝てる。
(日嗣様の方が……強い)
心のどこかでその確信めいた意識を得て、その意識は強ばった体の方にまで作用した。
一つ一つは指のささくれのような、些細な削り節だったかもしれない。しかしだからこそ、長く長く痛みを帯びる。
けれども日嗣の剣もまた、同じように大蛇の首を削っていた。大樹を斧で穿つように、しかし神木に刃を入れる罪と畏れと、詫びたくなるような靄がかった気持ちもどこかに含んで。
それでもただ一人、恋しい女のために互いに互いを生殺しにして。
──先に届いたのは、日嗣の剣だった。
想像よりも呆気ない手応えで二本目の首が落ち、勢いよく黒の水飛沫が上がる。大蛇は先程と同じようにその痛み──おそらく激痛に悶え苦しみ、その間日嗣は肺中の空気を入れ換えるように一度大きく呼吸をすると、一片の隙も与えず続けざまに空を駆け剣を振るった。
暴れ狂う首を避け、一太刀を浴びせ──そのいっそ作業的にも見える大蛇退治は、だからこそ眺めることしかできなかった神依の心にほんの少しの緩みを生んだ。
──勝てる。
(日嗣様の方が……強い)
心のどこかでその確信めいた意識を得て、その意識は強ばった体の方にまで作用した。

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