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《愛撫の先に…②》
第15章 握る小さな手…
そして奈々美が呼ばれ髪を結んだベテランの女性医師が微熱と吐き気はいつからと聞き診察が始まり数分後、側にいた看護師が医師の指示で外で待つ結城を呼ぶ。

『患者様の付き添いの方で間違いありませんか?患者様は江崎様であなたも江崎様?』

『………いえ私は彼女の婚約者として付き添っている結城と申します』
まだ結婚もしていない内からと観られているかもしれないときまりが悪い表情をする。

『…あぁ失礼しました、結城様近々江崎様と結婚のご予定で…一緒に話をお聞きになってください』
一瞬慌てるが結婚前でもよくある事だと頷いて結城を診察室に促す。
看護師は先ほどの話をボソボソと医師に耳打ちする。

奈々美は椅子に座り結城はその近くでピシッと立ちつくし緊張感が伝わるようだ。

『近々患者様と結婚なされるそうで…お父様と言ってよろしいでしょうか…お腹にはかすかなまだ落花生みたいな形なのですが4週目に入っています、おめでとうございます』
医師は笑顔で新米のお父さんお母さんになる2人に結果を告げる。

『4週目?』
奈々美は後ろを見あげ結城はみおろし、互いをみて声がそろっていた。

『そうですよ、先ほど撮ったエコーでこれが胎児でまるで落花生みたいな形でしょう』
医師はエコーの写真をみせると奈々美に渡した。
覗き込んでいた奈々美、少し身を前かがみにしてみていた結城は交互にそれを手にし大切なものであるかのように手がふるえた。

『母子手帳と一緒に保管しておくといいでしょう』
医師はデータである事柄を打ちながら伝え、次の診察日の事が書いてある用紙も渡した。

『先生奈々美の仕事は今すぐ辞めた方がいいのですか?』
いつもの結城よりもまだ緊張感が解けない口調で聞く。

『何の仕事をしているの?』

『普通のOLです、パソコンを打ったりしています』
奈々美が答える。

『悪阻がつらいなら休めばいいけど仕事がパソコンを打つ座り仕事なら安定期に入ればギリギリまで大丈夫でしょう、無理なら早めに産休に入ればいい事です、くれぐれも体調優先で十月十日頑張って見守りましょう』
医師はパソコンを打つ手をとめて2人に微笑んだ。

診察室を出た2人は料金を払い駐車場の車に乗り込んだ時には11時になるところだった。

『俺は父さんになるんですね…落花生みたいな小さなものが君の中にいるなんて信じられない…』
涙を浮かべる結城。
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