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《愛撫の先に…②》
第15章 握る小さな手…
『…産婦人科……あぁ、そうする事にしますよ、陽子さんも驚いた事でしょう…気をつけて帰ってくれたまえ』
ドアを開けゆっくりと奈々美を抱き上げた後、降りてきた陽子に頭を下げる。

『暑くて吐きそうって言うから…もしかしたら、って予感だけなの…課長にはあたしがうまく理由を考えるから休んでていいわ…いいなぁ〜お姫様抱っこされて…』
結城に憧れているだけに親友がその彼にお姫様抱っこをしてもらっているのを羨ましそうに観る。

『いくらでもしてあげますよ、陽子さん…遥斗くんが怒らなければですが』
笑みを浮かべる。

『〜〜〜……遥斗も結城さんもどちらも選べないわよ』
遥斗から結婚しようと言われ舞い上がっているが、やはり憧れの結城の事は別格で選べないほど迷うのだ。

『赤くなってかわいいですよ、陽子さん…このお礼は後ほど』
そう言って今度は建物の奥の従業員らが使う階段の方に向かうようだ。

その様子を羨ましそうにジッとみて車に乗り込み走り出す陽子。


場面は2008。
奈々美はベッドではなく洗面台へ行ってもらうように伝え洗面台に手をつき吐き始めたが唾液しか出てこない為にまだまだ吐こうと頑張る。
『…うぅ…おえぇ…ケホ…ハァハァ…おえぇ…やだ、こういうの啓輔さんに見られたくない…恥ずかし……おえぇ…ハァ…唾液しか……』
青ざめた顔でしきりに吐こうと下を向いているが視界の隅に結城のスラックスがみえているのでそう言う。

『知識でしか知りませんがこれが悪阻ということでしょう…俺の代わりのシフトは今から調整しますが明日は〇〇産婦人科に行きますからね…食べられそうなものは?』
結城がタオルを持って見守っていた。
百洗練場並みに何でも臨機応変に対応出来る結城でも悪阻ともなれば知識でしか知り得ない為見守るしかない。

『何もほしくない…シャワー浴びて横になる…』
彼女はメイクを落としパシャパシャと顔を洗い始めた。

『慌てて出てきたからフロントも困っているでしょう、様子を見に戻りますが何かあれば遠慮なくフロントにつながる内線を使ってほしい』
タオルを彼女に渡し彼は出ていく。

吐き気をもよおし洗面台に行こうとするもシャワー中壁に手をついておえぇ…と悪阻も唾液しか出てこない。

いつ悪阻がくるかわからないので手早く髪を乾かしバスローブを着てベッドに横になるが風呂あがりの爽快感とは真逆だった。

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