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こじらせてません
第2章 馴致

「へえ、やるじゃん、アキラ。めちゃ美人! てか、マジで? こんなキレイなオトナの人が、アキラなんか相手にしてくれんの?」
……。
一番である、ということは、こんなにも余裕を生むものなのだろうか。
「そんなことないよ」アキラが女の子の隣を離れ、ミサと並んだ。「ちゃんと告白して、OKしてもらったんだ」
「う、うん……そう、だね」
一番、――じゃないや、唯一だと思ってOKしたんですが。
とはいえ「アキラは告白した」、「ミサは了承した」という点では、事実と合っていたから、そう言った。
「ミサさん」
アキラがこちらへ向いてきた。
「んと、……姉の、ミソラ、です」
……。
瓦解寸前だったミサへ、別の可能性が提示された。
とはいえ、戸籍謄本を持ってこい、と言うわけにもいかない。
ミサが耳元の髪をかきあげるだけで、何もできずにいると、ミソラが鞄を探った。
名刺入れ。
……やっぱり、最近の高校生は、みんな名刺を持っているのか?
(うおっ……)
『山本 美星空』
キラキラネームだ。
「星」はどこへ行った?
ともあれ、二文字目を発音しない点では共通している。
「アキラの双子の姉の、ミソラでーす」
「あ、どうも、ありがと……」
銀座の歩道で、オトナの女と女子高生が名刺交換するのも、周囲の者からすれば不思議な光景かと思ったが、受け取っておいて渡さないというのは大変失礼な話だったから、ミサも名刺入れを取り出した。
「えっと、高橋、……ミサです」
「……」
ミソラは受け取った名刺をじっと見ていた。やはり、度肝を抜いてしまったのだろう。
「ちょっ、ヤバい! めっちゃカッコいい名前!」二人の親……事情があるから父親か、お父様は実に教育が行き届いた人らしい。「すごいですねー、一流企業ー。やっぱ、化粧品の会社の人だから、キレイなんだなー」
だんだんと、瞳がつぶらでちっちゃくて可愛いお嬢様っぽい見た目と、喋り方とのギャップを感じ始めていたミサだったが、キレイを連発されて、他者承認欲求が満たされていくと、悪い気分はしなかった。
……。
一番である、ということは、こんなにも余裕を生むものなのだろうか。
「そんなことないよ」アキラが女の子の隣を離れ、ミサと並んだ。「ちゃんと告白して、OKしてもらったんだ」
「う、うん……そう、だね」
一番、――じゃないや、唯一だと思ってOKしたんですが。
とはいえ「アキラは告白した」、「ミサは了承した」という点では、事実と合っていたから、そう言った。
「ミサさん」
アキラがこちらへ向いてきた。
「んと、……姉の、ミソラ、です」
……。
瓦解寸前だったミサへ、別の可能性が提示された。
とはいえ、戸籍謄本を持ってこい、と言うわけにもいかない。
ミサが耳元の髪をかきあげるだけで、何もできずにいると、ミソラが鞄を探った。
名刺入れ。
……やっぱり、最近の高校生は、みんな名刺を持っているのか?
(うおっ……)
『山本 美星空』
キラキラネームだ。
「星」はどこへ行った?
ともあれ、二文字目を発音しない点では共通している。
「アキラの双子の姉の、ミソラでーす」
「あ、どうも、ありがと……」
銀座の歩道で、オトナの女と女子高生が名刺交換するのも、周囲の者からすれば不思議な光景かと思ったが、受け取っておいて渡さないというのは大変失礼な話だったから、ミサも名刺入れを取り出した。
「えっと、高橋、……ミサです」
「……」
ミソラは受け取った名刺をじっと見ていた。やはり、度肝を抜いてしまったのだろう。
「ちょっ、ヤバい! めっちゃカッコいい名前!」二人の親……事情があるから父親か、お父様は実に教育が行き届いた人らしい。「すごいですねー、一流企業ー。やっぱ、化粧品の会社の人だから、キレイなんだなー」
だんだんと、瞳がつぶらでちっちゃくて可愛いお嬢様っぽい見た目と、喋り方とのギャップを感じ始めていたミサだったが、キレイを連発されて、他者承認欲求が満たされていくと、悪い気分はしなかった。

