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第47章 彼氏彼女

カフェテリアの窓際の隅、四人席。
本格的な冬の訪れを迎える前の、午後の短い日差しを浴びて、柔らかに波打つ落栗色の髪の毛が輝いている。
テーブルに気怠げに頬杖をつき、微かにその茶色の両眼を狭め、スマートフォンの画面を眺めている。
それだけでもう十分、様になっていた。
その整い過ぎた風貌に、少し離れた席から女子達のグループが、さっきから盗み見しては色めき立っている。
本当は声をかけたい、もっと近くの席に座りたい－そんなところなのだろうが、生憎そこまでの勇気は持ち合わせておらず。
遠巻きに見ているのが精一杯－そんな女子グループが数組。
熱い視線を送っているのに全く気付かず－或いは、知ってて素知らぬ振りをしている。
恐らく後者だと思うのだが－とにかく、周りの騒がしさに少しも動じる事なく、スマホの画面だけに集中している、その真剣な、眼差し。
側に行かなきゃ－思うのに、足が動いてくれない。