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蕩けるようなキスをして
第7章 噂の的
「聞いたよ、華夜~!あんた昨日の朝、外で彼氏と熱い抱擁交わしてたんだって?」
留以と並んで座っていた、講義前の大教室。
前方の扉から入室したクラスメートの女子二人組が、華夜子の姿を認めるや否や、嬉しそうに駆け寄って来た。
-もう、昨日の朝から、何度目。
内心うんざりしつつ、しかし、相手をしない訳にもいかず、曖昧な笑みを浮かべる。
「しかもキスまでしてたんでしょ?やるじゃん!」
感心され、更に濃い溜め息を吐(つ)く事となる。
-ある事、ない事、よくもまあ、次々と。
大声で否定したいけれど、したところで無駄なのも既に学習した。
違うと言えば言うだけ、余計に真実だと思われる。
違うと言ったところで、また誰かに異なる風に伝えられ、結局なんの意味もなさない。
その繰り返しだ。
昨日の朝から、もう何度、おんなじ事、言われてるんだろ。
昨日の朝から、もう何度、おんなじ事、言ってるんだろ-…。
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