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第44章 ファースト・キス

首に両腕が絡んだかと思ったら、強引に引き寄せられ。
限りなく近付いた事により、いつものむせ返るような彼女の香りに、恍惚となる。
思わず、瞳を閉じかけ。
何かが、掠めるように、触れた。
その衝撃に、電流に打たれたかのように、双眸を見開く。
背伸びをしたのか、自分よりも背の低い彼女の顔が、すぐ側に。
彼女が、触れている。
彼女が、自分に、触れている。
自分も、彼女に、触れている。
状況を呑み込めたのは、何秒後？
彼女の唇が、自分に、重なっている。
自分の唇は、彼女に、重なっていた－…。