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蕩けるようなキスをして
第43章 訊きたいこと
彼女もまた、真剣に彼に向き合う。
「…分からない」
華夜子の小さなそれに、陸の頬が僅かに強張った。
「彼とは大学一年生の春に、初めて出逢った。…だから、陸がもしも私と同い年だったとして。入学式に初めて逢ったとして。ふたりとも、同じ時期に、私は知り合った事になる。それから、どうなったか。私が、どちらを選んだのか。…なんとも言えない。陸がいたとしても、やっぱり彼だったかもしれない。彼がいたとしても、もしかしたら陸を選んでいたかもしれない。…ごめんね。こんな事しか言えなくて。これじゃあ、陸の求めてる答えになってないよね」
-デートした。
-好きになった。
-恋人になれた。
今はもういない彼じゃなく。
今、私の隣りにいる、あなたと。
言いたいけれど。
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