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蕩けるようなキスをして
第43章 訊きたいこと
思わず、舌打ちしてしまった。
小さなものだったはずなのだが-図書館という静かな空間には、似つかわしくなかったらしく。
テーブルの向かい側に座る彼女達の、冷たい視線を浴びる羽目となる。
ふたり同時に読みかけの本から顔を上げられ、じっと見据えられれば、流石の陸もたじろいでしまう。
「…ごめん」
小声の小声で、とりあえず、素早く謝る。
でもさ-テーブルの中央に顔を寄せ、なるべく彼女達に近い位置から、再び小さな声を継続し、呟く。
「あいつ、遅過ぎだろ。何してんだよ。とっくに講義は終わったはずなのに、さっぱり来ねーじゃねーかよ」
「約束してるんだから、その内、ちゃんと来るって。もう少し、静かに待ってようよ。ね?」
華夜子に、まるで子供に言い聞かせるような口調で窘められる。
久々に年下扱いされた気がして、途端、陸は苦虫を噛み潰したような顔をする。
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