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第42章 もう一秒

その手を離せばいいだけ。
その額を離せばいいだけ。
華夜子は羞恥に唇を噛む。
分かってる。
困らせてる。
離さないと、いけない。
そんなの、ちゃんと。
なかなか実行に移せない彼女の様子に、陸は微かな苦笑いを浮かべる。
華夜子の額から離れた陸は、顔を傾け、次に彼女の唇に自分を寄せた。
はっきりと聞こえる、彼女の驚愕を呑み込む、音。
こんなに彼女に近いのは、いつ振り？
求めては逸らされ。
逸らされては求め。
求めては拒まれた日、以来。